起業家に憧れている(@HEBOCHANS)です。
アントレフェア 2019 in 東京の2日目に行って起業セミナー(ゲスト講演)をすべて聴いてきたので、まとめました。


この記事はこんな人にオススメ
- 起業したい。
- 色々な起業の形を知りたい。
- 藤原和博さんのセミナーが気になる。
もくじ
何を売るかの前に、誰に売るかを考えよう - 増田紀彦氏
最初の講演は、一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事/独立支援プロデューサー 増田紀彦氏の
何を売るかの前に、誰に売るかを考えよう 〜開業を決意したら、最初に取り組むべき重要課題がこれ〜です。
事業の成否は誰に売るのか?の正否で決まると言っても過言ではない
- 誰に売るのか - 標的セグメント
- 何を売るのか - 商品・サービス
- どう売るのか - 価格・販売・宣伝
起業する上で大事なことは「誰に売るのか?」を明確にすること。
そして、その誰(= ペルソナ)を超具体的にイメージすることです。
具体例をいくつか紹介してくれました。
優良セグメント発見事例①
新潟にあるお持ち帰り専門店のペルソナは「部活帰りの高校生」でした。
高校生が下校で使う道に店舗を構えることで、宣伝費をかけずに経営を軌道に乗せました。
また、帰宅時間も把握できるので、いわゆるチャンスロスもなかったそうです。
価格設定も高校生のサイフに優しい150円に設定(1XX円なところがポイントです)。
しかし、夏休みになると客足はパタっと途絶え、倒産の危機を迎えます。笑
そこでオーナーは翌年から小学生向けに"かき氷"を売り始めます。
原価も安く、調理技術もいらないからです。
優良セグメント発見事例②
米軍基地のある街の英会話スクールのペルソナは「見栄張り女性」でした。
駅前留学ではなく、国内留学と銘打ち、外国人講師の自宅でのレッスンになります。
"英会話レッスンに行っている"と見栄を張りたい女性が一定数いるそうで、やがてアメリカ大使館で働いている外交官が講師を担当するようになると、「セレブ」までがお客さんになりました。
優良セグメント発見事例③
都内にある日本旅館のペルソナは「宴会の幹事」でした。
旅館の三本柱である「お風呂」「食事」「宿泊」の"宿泊"を辞めました。
地方からのお客さんではなく、都内の宴会客にターゲットを絞ったのです。
時代が変わるとペルソナも変わります。
ガラリと事業自体を変えるのではなく、「誰に売るか」を変えるのです。
狙った相手がノーと言わない「5P」を計画し、実施する
- Product - 製品
- Place - 流通
- Promotion - 販促
- Price - 価格
- Policy - 理念
企業や事業者が「5P」を特定したセグメント(= ペルソナ)に売る。
Price(価格)について
値付けの考え方
- ◯ 価格 - 利益 = コスト
- ☓ 利益 + コスト = 価格
- ☓ コスト + 利益 = 価格
値付けと決済
- 相手が買える価格、かつ買いたくなる価格 → 高い安いだけではない
- 相手が魅力的に感じる値引き範囲と方法 → 本体価格だけではない
- 相手にとって都合のいい支払い方法と期間 → 各種の決済手段に対応を
KDDIの創業者・稲盛和夫さんの言葉 「最高の価格とはお客様が満足し、納得する最大限の価格である。」に通じる考え方ですね。
まさに"値決めは経営"です。
各種の決済手段に対応することについてはオダギリジョーさんのCMを例に出されていました。わかりやすいですね。笑
セグメンテーションを理解しよう
セグメンテーションとは…市場を細分化し、自社が活動する事業領域を決めること。
言い換えると、均一化されたニーズを有する層を発見・到達し、そのニーズに応える形で、自社の活動範囲を決定することです。
5つの基準 (変数)で市場をセグメンテーションする
- 地理的分割
- デモグラフィック(実態人口統計)分割
- サイコグラフィック(心理的傾向)分割
- 行動・状況分割
- 顧客層別分割
セグメンテーションが効果を発揮するための4条件
- 測定可能であること → セグメントの規模や購買力などを測定できること
- 実質性があること → 最低限の規模ないし収益獲得の見込みがあること
- 到達可能であること → そのセグメントに効果的に到達でき、効果的な販売チャネルが分かっていること
- 実行可能であること → そのセグメント向けの効果的なマーケティングシステムを作り上げられる能力やスタッフなどの資質があること
まとめ
結論: ビジネスは誰に、何を、どう売るのかで決まる。
週末起業から始めませんか? - 藤井孝一氏
次の講演は、経営コンサルタント(中小企業診断士)で、株式会社アンテレクト 取締役 藤井孝一氏の
週末起業(副業・複業)から始めませんか?お金もかけず会社も辞めずにできる"大人の週末起業"のすすめ です。
週末起業とは
会社を辞めずに起業し、軌道に乗ったら(収入が本業を超えたら)独立するスタイル。
あくまで起業なので、(休日にバイトするイメージの)副業とは違います。
独立のための準備期間とも言えます。
成功事例①
あるバドミントン専門店のオーナーは電器メーカーに勤務しながら週末起業しました。
もともと趣味であったバドミントンのグッズ販売で年商1億を達成し、独立。
会社で肩たたきにあったことが、きっかけだったそうです。
成功事例②
翻訳・音声起こしなどを中心とする会社のオーナーは部品メーカーに勤務しながら週末起業しました。
もともと英語が堪能であったことから、当初は自分一人で翻訳をしていましたが、限界を感じ、外注を始めます。
すると、英語以外も扱えるようになり、今では10ヶ国語以上を翻訳しています。
成功事例③
パーソナルトレーニングジムのオーナーは素材メーカーのエンジニアをしながら週末起業しました。
もともと筋トレが趣味のボディビルダーでしたが、本業の収入を超えたことから独立。
今では4店舗を経営しています。
成功事例④
コンサルや出版、ふるさと納税のガイドなど多様なビジネスを展開する"魚好きコミュニティ"の代表は通信会社でSEをしながら週末起業しました。
原点は実家が漁師だったからだそうです。
他にセミナーやメディア出演もされています。
週末起業でできること
- 物を売る → ネット通販・オークションなど
- スキルを売る → ライター・プログラマー・デザイナーなど
- 専門知識を売る → 講師・コンサルタント・コーチ・トレーナーなど
- 場を売る → イベント・コミュニティ主催、マッチング、仲介業など
- その他 → 小売店・飲食店のオーナーなど
なぜ週末起業なのか?
- リスクが少ないから。
- 時代が後押ししているから。
- 人生が100年になったから。
人生が100年になったから、についてはこちらの書籍をオススメしていました。
週末起業の始め方
- 決意する。
- 取り組む分野を決める。
- 起業ネタを見つける。
- 販売の仕組みを作る。
- テスト販売する。
- 改善・改良する
取り組む分野を決める
- やりたいこと
- できること
- 需要があること
ポイントは「① → ③の順番で考える」そして3つが「重なる部分」を見つけることです。
③から考える人が大半かもしれませんが、自分がオーナーの起業です、「やりたいこと」から考えましょう。
好きを仕事化するのです。
起業ネタを見つける
- 物を売る → ネット通販・オークションなど
- スキルを売る → ライター・プログラマー・デザイナーなど
- 専門知識を売る → 講師・コンサルタント・コーチ・トレーナーなど
- 場を売る → イベント・コミュニティ主催、マッチング、仲介業など
- その他 → 小売店・飲食店のオーナーなど
ベースは上記から考えましょう。
- 典型的副業ネタから始めてみる。
- 副業支援サービスを利用してみる。
- FC・代理店、商材&事業支援、業務委託の中から「副業可能」なものを検討してみる。
典型的副業ネタから始めてみる
あくまで副業とは違いますが、起業ネタが見つからない時は、"結婚式の司会者"などの典型的な副業ネタから始めてみるのも一つの手です。
副業支援サービスを利用してみる
画像はクラウドソーシングサービス「ランサーズ」の"仕事をさがす"の画面です。
クラウドソーシングなどの既存のサービスを利用することで(画像からも)世間のニーズが確認できます。
FC・代理店、商材&事業支援、業務委託の中から「副業可能」なものを検討してみる
まさにアントレフェアなどのイベントに参加して、ブースで話を聞いてみるということですね。笑
藤井さんも元々はアントレフェアでセミナーを聴く側だったそうです。
週末起業の落とし穴
- 会社にバレる
- 時間が足らなくなる
- 法律の問題
会社にバレる
そもそも自分の勤めている会社が副業禁止かもしれないので、就業規則を確認することが前提です。
もし副業禁止が明記されていても例外が認められるケースもあるそうです。
最近はSNSからバレることもあるので、ビジネスネームやイラストアイコンを使うなどの工夫が必要です。
時間が足らなくなる
そんな時はアルバイトを雇うことも視野に入れましょう。
法律の問題
週末起業だからと言って必ず法人化する必要はありませんが、納税は必ずしましょう。
独立
週末起業の限界
- 時間の制約
- 活動の制約
- 信用不足
時間の制約
ビジネスのゴールデンタイムは平日の日中なので、やがて本業とバッティングしてしまうはずです。
活動の制約
本名や顔出しができないことでのロスも考えられます。
例えばメディアへの露出はビジネスを飛躍的に向上させますが、そんなチャンスも棒に振ってしまうかもしれません。
信用不足
週末起業はあくまでこちらの都合です。
そのビジネスを本業でやっている相手と比べて、クライアントから片手間でやっていると思われてしまうことだってあります。
まとめ
経営は意思決定の連続 → 練習だと思って決断しよう
藤井孝一さんの著書を紹介します。
【POD】【新装】週末起業 虎の巻 会社を辞めずにできる起業の練習帳
戦略的「モードチェンジ」のすすめ - 藤原和博氏
次の講演は、教育改革実践家で奈良市立一条高校・前校長/和田中学校・元校長/元リクルート社 フェロー 藤原和博氏の
戦略的「モードチェンジ」のすすめ です。
ホリエモンやキンコン西野さんが絶賛していた
を読んでいたので、藤原さんの講演(をブログにまとめる)目当てで行きました。
が、
藤原さんの講演は、実はYouTubeで観れちゃいます(ちょうど1年前のものです)。
なので、まとめません。笑
今回は以下のような流れでした。
- これから10年、最大の社会変化は何?
└ 生きる力の逆三角形 - 情報編集力のための自分プレゼン術の練習
- 3つのキャリアの大三角形で100万分の1の希少性をゲットせよ!!
紹介した動画とは少し内容が異なりますが、他にもアップされている動画と合わせれば概ね同じです。
個人的に印象に残った言葉だけまとめておきます。
- 商品やサービスは普及率16%を超えると一気に普及する。
└ 「普及率16%の論理」 - 商談で"つかみ"がとれたら、名刺は最後に出すのがカッコいい。
└ ただしスベったら、すかさず出す。 - 会社ブランドではなく、自分ブランドを掲げる。
- 20代はホップ、30代はステップ、40代はジャンプ。
- 30代は副業・週末起業もアリ。
- 40代は事業継承もアリ。
- 3つのキャリアの三角形の大きさ(面積)が希少性の高さ。
- 希少性がないと見向きもされない。
- 藤原さんは教育(40代のジャンプ)で10年試行錯誤した。
まとめ
動画にもありますが藤原さんの講演(本人いわくライブ)は、ただ話を聴く形式ではなく、ブレスト(= ブレインストーミング)が何度も行われます。
その結果、ライブ終了後に至るところで"参加者同士の名刺交換"が行われていたのが印象的でした。
今回のライブは主に以下の書籍を基にしています。
藤原さんのHPです。
藤原和博の[よのなかnet]
新しい起業の形「後継者人材バンク」 - 清水至亮氏
最後の講演は、静岡県事業引継ぎ支援センター 統括責任者 清水至亮氏の
新しい起業の形「後継者人材バンク」 です。
クローズアップ現代でも「個人M&A」が特集されていましたね。
国の事業承継施策
"後継者人材バンク"は経済産業省が運営する「事業引継ぎ支援センター」の業務の一つです。
事業引継ぎ支援センターは公的相談窓口で相談は無料です。
各都道府県に1箇所ずつあります(東京は2箇所)。
プロジェクト開始のきっかけ
バーの常連さんがそのお店のオーナーになるパターンがよくあると思います。
常連でなくても"その情報"を得られるようにしたい。
また、後継者を見つけられない事業主側のサポートをしたい。
しかし現実は…






「本人のあきらめ」と「支援者側の都合」でうまくいかない仕組みができあがってしまっています。
そこで、より多くの事業引継ぎを実現させるために、以下のような仕組みの構築を目指しました。
仕組みの構築
- 双方の実名を公表しなくてもよい仕組み
- 効率的に後継者候補を確保する仕組み
- より多くのマッチングを実現する仕組み
- 創業支援機関との継続的、効果的な連携
後継者人材バンクとは
個人事業主の半分は後継者がいないと言われています。
意欲ある起業家による創業と
地域に不可欠な事業の存続を同時に叶える。
「後継者人材バンク」とはリスクの少ない起業です。
メリット
- 起業家 → 有形無形の経営資源の承継・起業リスクの軽減
- 事業主 → 事業の継続・地域経済、地元商店街への貢献
- 地域経済 → 起業家への新たな創業方法の提示・創業者数、率の向上・空き店舗予防
デメリット
- 起業家 → 経営の自由度が低い・既存事業主とのすり合わせが必要
- 事業主 → 条件面の取り決めが必要・後継者との理念や思いの共有が不可欠
- 地域経済 → 希望したすべての事業を残すことは不可能
起業家が獲得できるもの
承継できるもの
- 販売先、仕入先(売上確保の目処)
- 店舗や営業に必要な設備機材など一式(割安で)
- 地域での知名度(老舗の暖簾)
- 業界知識や経営ノウハウ(人生の先輩)
自分で創り上げるもの
- 新商品、サービスの開発
- 既存商品、サービスの高付加価値化
- 地域内での新たなネットワーク、マーケティング
- 店舗設備のリニューアル
ある韓国料理屋さんを承継した起業家は、新たに「中華」を始めたり、FacebookなどのSNSを始めたり、看板のリニューアル費用をクラウドファンディングで集めたりしたそうです。
成約案件
ある靴屋さんのケース
事業主 → 靴の小売店舗
起業家 → オーダーメイド・インソールの製作や修理の無店舗
同じ日に偶然相談があったことから、弁護士を交えてのすり合わせが始まる。
元オーナー夫妻は60歳手前と若いため、今後も店長として継続勤務する予定だそうです。
ある家具屋さんのケース
事業主 → 静岡県の老舗高級家具メーカー
起業家 → 都内の欧州家具輸入会社勤務
静岡にある工場や従業員をそのまま引き継ぎ、販路を首都圏に広げていく方針です。
成約までの流れ
起業家の登録方法
- 創業支援機関に相談する(アントレ含む)
- 登録申込書を提出
- 支援センター職員と面談(最初は静岡で最低1回)
- 「後継者バンク」に正式登録
引き合わせ 〜 成約
- 条件に合う相手先の選定
- 引き合わせの実現
- 各種条件の調節
- 事業引継ぎの実現
仕掛中の案件
実際に仕掛中の案件の紹介もありました。
- こだわり野菜と惣菜の販売店定
- ツアーの企画運営も行うダイビングショップ
- SNSでの評価の高い手打ちそば店
- 木材・UV塗装を得意とする塗装業者
まとめ
事業主 → 後継者不在で事業の継続に不安
起業家 → 開業後の事業継続に不安
後継者人材バンクは
「既存事業の存続」と「リスクの少ない起業」が同時に実現可能な取り組みです。
おわり
2019年11月23日(土)にはアントレフェア 2019 in 大阪も開催されます。
現代の革命家・キンコン西野さんも登壇されます(要整理券)。
ぜひ来場してみてください!