お金2.0 【まとめ①】新しい経済のルールと生き方 | 佐藤航陽

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本が速く読めるようになりたい(@HEBOCHANS)です。

一度読んでみて本当に良かった本だけを記事にしていきます。

今回はメタップスのCEOにしてタイムバンクを立ち上げた人、佐藤航陽さんのビジネス書「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」です。

本書は西野亮廣さんの著書「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」から2ヶ月後に同じ幻冬舎から発売されました。

類似点も多く、これからの「お金との向き合い方」、「お金の扱い方」について、より専門的な視点から書かれています。

これからサービスやアプリを作りたい方や起業したい方にもドンピシャな内容になっているので、今回はそんな切り口からまとめてみました。

ぜひ「革命のファンファーレ」と合わせて読んでください↓

TOTO

徳川幕府も265年続いたのかぁ

GIGLIO

ボクたちで”お金が支配する時代”を討幕するんだ!

この記事は以下のような方にオススメです。

  • 「お金2.0」が気になる。
  • お金ってそもそも何なの?
  • サービスやアプリを作りたい。
  • 起業したい。

お金ってそもそも何?

お金には、価値の「保存」、「尺度」、「交換」の役割がある。

物々交換の不便さを補うためのツールとして生まれました。

“そのものの価値”を「計測」することができて、簡単に「交換」(持ち運びも)ができて、腐らず「保存」ができるもの。

逆に言えば上記3点を満たしていれば何でも良いので、お金はその姿をよく変えます。

お金の起源

最古のお金は紀元前1600年前の貝殻とされていて

「ゴールド」→「貨幣」→「紙幣」→「データ」

と時代の変化に合わせて「お金」も変化してきました。

本書で著者は、お金に支配されず、あくまで「お金」をツールとして使いこなすことが重要だと繰り返し言っています。

お金の歴史

人間が大事だと思う対象も時代とともに変化してきました。

神様 (宗教)→王様 (身分)→お金 (今ココ)

ザッとこんな流れです。

お金が表舞台に出始めたのが、今から300年前の18世紀頃。

産業革命や市民革命によって、貴族などの身分の影響力が薄れ、「自由」や「平等」などの概念が広まり、資本主義が始まります。

現在のように国家が管理する中央銀行がお金を刷って、国が経済をコントロールする仕組みが世界に広まったのは、わずかこの100年ほどです。(日銀がスタートしたのは明治15年/1882年)

著者はこの「お金が人間を支配する時代」を私たちの世代で終わりにしていいはずだ、と言っています。

経済の特徴とメカニズム

ここからはメタップスの事業を通して筆者が見つけた「経済の特徴とメカニズム」についてです。

経済とは「欲望のネットワーク」なので、まずは人間の欲望を理解する必要があります。

現代社会における人間の3大欲求を大別すると以下になります。

現代の3大欲求
  1. 本能的欲求
  2. 金銭欲求
  3. 承認欲求

そして、この「欲望のネットワーク」には以下のような共通する特徴があります。

共通する特徴
  1. 極端な偏り
  2. 不安定性と不確実性

①極端な偏り

人気者がさらに人気者になり、途方もない格差が生じる構造です。

上位2割が全体の8割を支える (パレートの法則)とか

上位1%の富裕層が世界全体の富の48%を所有している (上位85人と下位35億人の所得がほぼ同じ)とか、聞いたことありますよね?

「所得」だけでなく、「消費」でも同じで

はじめ無料で課金制のソーシャルゲームにおいても、全体の3%がお金を払い、さらにその中の10%で全体の売上の50%を占める (全体の0.3%が総売上の半分を占める)

という現象が経済のような「動的なネットワーク」では普通に起こります。

悪いお金持ちがずる賢いことをしたからこうなった。というわけではなく、動的なネットワークの性質上、避けては通れないものということになります。

②不安定性と不確実性

世界があまりにも繋がり過ぎていて、些細な事象が全体に及ぼす影響を予測するのが難しくなり、常に全体が不安定に晒されている状態です。

発展する経済システムを作る5つの要素

生産活動をうまく回す仕組み (発展する経済システム)とは大前提として、自己発展的に拡大していくような仕組みである必要があります。

誰か特定の人が動き回っていないと崩壊するような仕組みでは長続きしないからです。

5つの共通点
  1. 報酬が明確である (インセンティブ)
  2. 時間によって変化する (リアルタイム)
  3. 運と実力の両方の要素がある (不確実性)
  4. 秩序の可視化 (ヒエラルキー)
  5. 参加者が交流する場がある (コミュニケーション)

①報酬が明確である

ユーザーに何かしらの報酬やメリットを設計する、というビジネスなら当たり前のように感じますが、この要素が抜けていて失敗するケースが実は最も多いそうです。

現代は3Mといって (儲けたい・モテたい・認められたい)という欲望を満たすシステムが急速に発展しやすいです。

②時間によって変化する

時間によって状況が常に変化するということをユーザーが知っている、ことが重要です。

変化のない環境では緊張感もなく、努力する気も起きず、全体の活力が次第に失われていくからです。

③運と実力の両方の要素がある

自らの思考と努力次第でコントロールできる「実力」の要素と、全くコントロールできない「運」の要素、の両方が良いバランスで混ざっている環境の方が持続的な発展が望めます。

④秩序の可視化

ヒエラルキーというとネガティブなイメージがありますが、実際に広く普及したシステムには例外なく、ヒエラルキーが可視化されています。

しかし、このヒエラルキーが「固定化されない」ことがポイントです。

固定化されると、②リアルタイムと③不確実性が失われます。

また、そのヒエラルキーの上位を手に入れたユーザーは、その地位を守ろうとするので、強制的に新陳代謝を促す仕組みを組み込んでおく必要があります。

⑤参加者が交流する場がある

ユーザー同士が交流しながら互いに助け合ったり、議論したりする場が存在することで、全体が1つの共同体であることを認識できるようになります。

こうして見ると現代に普及したTwitterやInstagram、Facebookといったサービスそのものですよね。

持続性をもたらす2つの追加要素

安定性と持続性を考えるとさらに2つの要素を取り入れる必要があります。

2つの追加要素
  1. 寿命を考慮しておく
  2. 共同幻想が寿命を長くする

①寿命を考慮しておく

「持続性」と矛盾しているように聞こえますが、そもそも永遠に存在しうるシステムやサービスなどありません。

何十年、何百年と運営されることで前述した「ヒエラルキーの固定化」が避けられないからです。(理由はそれだけではないはずですが)

経済は人気投票を何百万回と繰り返すようなもので、時間が経つほど特定の人に利益が集中してしまうのは必然です。(フィードバックループの結果)

特定の人に利益が集中してしまうことによる「不満」や「飽き」によって、寿命が来ることを前提として、寿命が来たら「別のシステムにユーザーが移って行けるような選択肢を複数用意しておく」ことが重要です。

  • FacebookにおけるInstagramやWhatsApp
  • 外食チェーンにおける店舗のレパートリー

 ②共同幻想が寿命を長くする

永遠は不可能でも長続きさせることは可能です。

ユーザーが「共同の幻想を抱いている場合」システムの寿命は飛躍的に伸びます。

Apple製品に不具合が多くてもユーザーが離れないのは、Appleの美意識や思想の熱心なファンであるからです。

安売りメーカーの製品に不具合が多ければユーザーは二度とリピートしてくれませんが、価値観に共感している場合は多少の失敗は許容できます。

ここであえて「幻想」と表現されているのは、絶対的な正しい価値観など存在しないからです。

  • Appleにおけるスティーブ・ジョブズの美意識や理念
  • オンラインサロンや社会貢献活動

本書では上記「5つの要素 + 2つの要素」を企業に当てはめた解説もされています。

ここでは割愛しますが、現代の経営者や起業家は上記の要素をよく理解した上で、「発展する経済システムを作るプロであること」が求められると筆者は述べています。

自己発展的に拡大するサービスを作るには?

ではTwitterやInstagram、Facebookといった自己発展的に拡大するサービスを作るにはどうしたら良いでしょうか?

先進国では、モノやサービスが溢れています。

ミニマリストという存在に表れているように、現代はモノが売れない時代で、人々の欲求は物質的なもの → 精神的なものに移ってきています。

そんな飽和状態の中でヒットするサービスを作るには、前述した5要素を押さえた上で、「衣食住」などの根源的な欲望を満たすサービスであることはもちろん、以下のポイントも押さえる必要があります。

  • 社会的な欲望を満たす (金銭欲求や承認欲求)
  • データを見ながらアップデートを繰り返す
  • VIPユーザーとライトユーザーを差別化する

 承認 (金銭)欲求を満たす

SNSという経済の中では「いいね」や「RT」は「金銭」ではなく「承認」という欲求を満たす装置であり、ユーザー間でやりとりされる「通貨」のような役割を担っています。

拡散によって増えていく「フォロワー」は「貯金」のように貯まっていく「資産」に近いです。

 データを見ながらアップデートを繰り返す

表面的なユーザーの声や、世の中の偏見に惑わされず、「データ」を見ながらユーザーの欲望を探り続けることが大事です。

なぜなら、そこには「ユーザー自身も気づいていない欲望」が存在するからです。

そして、ユーザーの反応を見ながら新しい機能をスピーディーに追加したり、反応が悪かったら機能を削除したりというアップデートを繰り返していくのです。

 VIPユーザーとライトユーザーを差別化する

サービスの発展に貢献してくれたユーザーには「特別待遇」を用意します。

そして、それがユーザー間で可視化されていることが必須です。

さらに「ランキング」や「ゴールド会員」などの仕組みでヒエラルキーを作ります。

こうしてサービスが成長することでユーザーが得をし、

ユーザーが得をすることでサービスが発展するという「利害の重ね合わせ」を丁寧にやっていき、

VIPユーザーに支えられた(簡単に)コピーできない経済システムを作っていきます。

製品やアイディアで勝負する時代から、ユーザーや顧客も巻き込んだ経済システム全体で勝負する時代に変わってきています。

脳と経済の深い関係

経済システムがなぜ上記のような仕組みになっているのか?

筆者が偶然見つけたという答えは、私たちの「脳」にありました。

私たち人間や動物の脳は、欲望が満たされた時に「報酬系」または「報酬回路」と言われる神経系が活性化してドーパミンなどの快楽物質を分泌します。

いわば人間 (や動物)はこの「報酬系」の奴隷で、さらにこの「報酬系」が分泌する快楽物質には”中毒性”があります。

先ほどの「経済システムを作る5つの要素」を脳の報酬系の視点から見た筆者の考察が面白いです。

脳の欲求は進化するのです。

5つの要素
  1. 報酬が明確である (インセンティブ)
  2. 時間によって変化する (リアルタイム)
  3. 運と実力の両方の要素がある (不確実性)
  4. 秩序の可視化 (ヒエラルキー)
  5. 参加者が交流する場がある (コミュニケーション)

①インセンティブ

脳は「報酬が期待できる状態」でも快楽物質を分泌することが分かっています。

例えば、好きな子からの「LINEの通知」がそれに当たります。

実際に会って話さなくても、メッセージを読まなくても報酬系は快楽を感じているはずです。

また、SNSの「いいね」による快楽なども、SNSが存在していない時代の人間からすれば何が嬉しいのか理解できないはずですが、脳は経験や学習によって快楽の対象を自由に変化させることができるのです。

今後、新たなテクノロジーの出現によって、人間は新たな対象に快楽を感じて、新しい欲望を生み出しているはずです。

②リアルタイムと③不確実性

脳は「飽きやすい」性格です。

そのため「変化のある」、「不安定な」環境で得た報酬により多くの快楽を感じやすいということが研究で分かっています。

おそらくこれは野生動物が自然界で生き残る上で重要な機能だったのではないでしょうか。

リスクのある環境下で得られる快楽が大きいことで、自然界で積極的に動いていけるモチベーションにしていたのでしょう。

④ヒエラルキー

人間の快楽は他者との比較によって高まります。

自分は幸福か不幸か、優れているか、劣っているかを他者と比較することによって判断する相対的な生き物だからです。

同じ100点でも「全員が100点の場合」と「自分だけが100点の場合」では感じ方が全く異なるようにです。

そして、集団が大きく、比べる対象が複雑かつ、目に見えないものであるほど、ヒエラルキーの可視化が必要になります。

⑤コミュニケーション

脳内の報酬系の仕組みをフル活用した装置が「ゲーム」です。

オンラインゲームの場合は上の4つの要素に「コミュニケーション」も加わり、さらに熱中度は高まります。

つまり優れた経済システムを作ろうとすると、ゲームに近づいていくことになります。

これを「ゲーミフィケーション」と言います。

ゲーム最強です。

自然界と経済の深い関係

脳とは逆に、経済をさらにより大きな枠組みとも比較しています。

著者が経済と最もよく似ていると思ったのが「自然界」でした。

個人的に面白いと思った本書のハイライトの一つです。

「自然界」も「資本主義の世界」も弱肉強食の残酷な世界です。

自然界は食物連鎖と淘汰を繰り返しながら、全体が一つの「秩序」を形成して成り立っています。食物連鎖を通して「エネルギー」(資本主義でいうところの通貨)を循環させています。

個と、種と、環境が信じられないほどバランスの取れた生態系を作っており、しかも常に最適になるように自動調整がなされています。

自然界では人間社会にあるような法律を、誰かが管理しているわけではないので、自発的にこの仕組みが形成されたということになります。

「自然が経済に似ている」のではなく、「経済が自然に似ていたからこそ、資本主義がここまで広く普及した」のです。

自然がここまでバランスよく成り立っている要因は、前述した2つの特徴に加えて、さらに3つの特徴が挙げられます。

ネットワークの性質
  1. 極端な偏り
  2. 不安定性と不確実性

 ①自発的な秩序の構成

ルールを作っている人がいないにも関わらず、簡単な要素から複雑な秩序が自発的に形成されているという特徴です。

こうした現象を「自己組織化」もしくは「自発的秩序形成」と呼ばれます。

 ②エネルギーの循環構造

生物は食事などによって、常に外部からのエネルギーを体内に取り入れ、活動や排泄を通して外部に吐き出します。

熱力学の世界では時間が経つと、秩序のある状態から無秩序な状態に発展していくとされていますが、自然や生命はこのエネルギーの循環機能があるため秩序を維持することが可能だと言われています。

 ③情報による秩序の強化

秩序をより強固にするために「情報」が必要になったと考えられます。

我々で言う情報とは「記憶」や「遺伝子」のことです。

この「情報」が内部に保存されることで、構成要素が入れ替わっても同じ存在であり続けることができます。

これは「企業」にも言えることで、会社にとっての情報とは「ビジョン (理念)」です。

企業も時間の経過によって、社員や事業内容が変わったりしますが、ビジョンが可視化されていることによって、同一性を保ち続けることができます。

名前が違うだけで構造は全て同じ

こうして見ると、「自然」から「細胞」「生命」「企業」「国家」「経済」に至るまで、名前が違うだけで構造は全て同じものとして捉えることができます。

興味深いのは、マトリョーシカのような入れ子構造が続いていることです。

自然 > 社会 > 企業 > 部署 > 人間 > 器官 > 細胞

自然に近づけることでうまくいく!

ここまでの考察から一つの仮説が浮かび上がります。

自然の構造に近いルールほど社会に普及しやすく、かけ離れた仕組みほど悲劇を生みやすい。

この仮説を証明する典型例が以下です。

これからビジネスを始める際は「これは自然界のルールに近いか?」という視点から見てみると良いかもしれません。

レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉

経済の根底には脳の報酬回路があり、経済と自然は似ている。

そして、脳そのものも経済とそっくりな構造をしています。

「モナ・リザ」で有名なレオナルド・ダ・ヴィンチは音楽、建築、数学、幾何学、解剖学、生理学、動植物学、天文学、気象学、地質学、地理学、物理学、光学、力学、土木工学など様々な分野で類まれなる才能を発揮していたので「万能人」と呼ばれていました。

筆者は彼が多才であったのではなく、「全て同じものに見えていたのではないか」という仮説を立てています。

ダ・ヴィンチは何でも出来たのではなく、名前が違うだけで構造は全て同じ「一つ」のものをよく理解していた天才だったのかもしれません。

そんな仮説を聞くとダ・ヴィンチが著書に残した言葉にも頷けます。

私の芸術を真に理解できるのは数学者だけである。

おわり

プロフィール

ここまでで第1章です。

興奮しますよね?

全編はぜひ実際に手にとって確認してみてください!

ちなみに本書は”あの箕輪さん”が編集を担当しています。

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