「お金2.0」が気になる!要約・まとめてほしい!
こういった要望に応える記事を用意しました!
この記事はこんな人にオススメ
- お金ってそもそも何なの?
- サービスやアプリを作りたい
- 起業したい
一度読んでみて本当に良かった本だけを記事にしていきます。
今回はメタップスのCEOにして「タイムバンク」を立ち上げた「佐藤航陽さん」のビジネス書「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」です。
本書は西野亮廣さんの著書「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」から2ヶ月後に同じ幻冬舎から発売されました。
類似点も多く、これからの「お金との向き合い方」、「お金の扱い方」について、より専門的な視点から書かれています。
これからサービスやアプリを作りたい方や起業したい方にもドンピシャな内容になっているので、今回はそんな切り口からまとめてみました。
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もくじ
- 【要約まとめ】お金2.0 新しい経済のルールと生き方|佐藤航陽
- お金ってそもそも何?
- お金の起源
- お金の歴史
- 経済の特徴とメカニズム
- 発展する経済システムを作る5つの要素
- 持続性をもたらす2つの追加要素
- 自己発展的に拡大するサービスを作るには?
- 脳と経済の深い関係
- 自然界と経済の深い関係
- 名前が違うだけで構造は全て同じ
- 自然に近づけることでうまくいく!
- レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉
- テクノロジーの変化は点ではなく線で捉える
- これからの10年は分散化
- 共有経済(シェアリングエコノミー)
- トークンエコノミー
- これからの10年は自律分散型(分散化✕自動化)
- 経済は「作る」対象に変わった
- 資本主義の限界
- 消費経済と資産経済
- お金で買えないものの価値が上がっている
- 資本主義から価値主義へ
- 評価経済
- ソーシャルキャピタル
- あらゆる壁が溶けてなくなる
- ベーシックインカム普及後の「お金」
- 好きな経済を選べる社会
- ダグラス・アダムスの言葉
- お金から解放される生き方
- 好きなことに熱中している人ほどうまく行きやすい
- 「お金」のためではなく「価値」を上げるために働く
- 枠組みの中での競争から「枠組み自体を作る競争」へ
- 加速する人類の進化
- 近い未来の話
- 「お金」は単なる「道具」である
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- まとめ:お金2.0
【要約まとめ】お金2.0 新しい経済のルールと生き方|佐藤航陽
順番に見ていきましょう!
お金ってそもそも何?
お金には、価値の「保存」、「尺度」、「交換」の役割がある。
物々交換の不便さを補うためのツールとして生まれました。
"そのものの価値"を「計測」することができて、簡単に「交換」(持ち運びも)ができて、腐らず「保存」ができるもの。
逆に言えば上記3点を満たしていれば何でも良いので、お金はその姿をよく変えます。
お金の起源
最古のお金は紀元前1,600年前の貝殻とされていて
と時代の変化に合わせて「お金」も変化してきました。
本書で著者は、お金に支配されず、あくまで「お金」をツールとして使いこなすことが重要だと繰り返し言っています。
お金の歴史
人間が大事だと思う対象も時代とともに変化してきました。
ザッとこんな流れです。
お金が表舞台に出始めたのが、今から300年前の18世紀頃。
産業革命や市民革命によって、貴族などの身分の影響力が薄れ、「自由」や「平等」などの概念が広まり、資本主義が始まります。
現在のように国家が管理する中央銀行がお金を刷って、国が経済をコントロールする仕組みが世界に広まったのは、わずかこの100年ほどです(日銀がスタートしたのは明治15年/1882年)。
著者はこの「お金が人間を支配する時代」を私たちの世代で終わりにしていいはずだ、と言っています。
経済の特徴とメカニズム
ここからはメタップスの事業を通して筆者が見つけた「経済の特徴とメカニズム」についてです。
経済とは「欲望のネットワーク」なので、まずは人間の欲望を理解する必要があります。
現代社会における人間の3大欲求を大別すると下記になります。
現代の3大欲求
- ①:本能的欲求
- ②:金銭欲求
- ③:承認欲求
そして、この「欲望のネットワーク」には下記のような共通する特徴があります。
共通する特徴
- ①:極端な偏り
- ②:不安定性と不確実性
①:極端な偏り
人気者がさらに人気者になり、途方もない格差が生じる構造です。
上位2割が全体の8割を支える(パレートの法則)とか、上位1%の富裕層が世界全体の富の48%を所有している(上位85人と下位35億人の所得がほぼ同じ)とか、聞いたことありますよね?
「所得」だけでなく「消費」でも同じで、はじめ無料で課金制のソーシャルゲームにおいても、全体の3%がお金を払い、さらにその中の10%で全体の売上の50%を占める(全体の0.3%が総売上の半分を占める)
という現象が経済のような「動的なネットワーク」では普通に起こります。
悪いお金持ちがずる賢いことをしたからこうなった。というわけではなく、動的なネットワークの性質上、避けては通れないものということになります。
②:不安定性と不確実性
世界があまりにも繋がり過ぎていて、些細な事象が全体に及ぼす影響を予測するのが難しくなり、常に全体が不安定に晒されている状態です。
発展する経済システムを作る5つの要素
生産活動をうまく回す仕組み(発展する経済システム)とは大前提として、自己発展的に拡大していくような仕組みである必要があります。
誰か特定の人が動き回っていないと崩壊するような仕組みでは長続きしないからです。
5つの共通点
- 報酬が明確である(インセンティブ)
- 時間によって変化する(リアルタイム)
- 運と実力の両方の要素がある(不確実性)
- 秩序の可視化(ヒエラルキー)
- 参加者が交流する場がある(コミュニケーション)
①:報酬が明確である
ユーザーに何かしらの報酬やメリットを設計する、というビジネスなら当たり前のように感じますが、この要素が抜けていて失敗するケースが実は最も多いそうです。
現代は3Mといって(儲けたい・モテたい・認められたい)という欲望を満たすシステムが急速に発展しやすいです。
②:時間によって変化する
時間によって状況が常に変化するということをユーザーが知っている、ことが重要です。
変化のない環境では緊張感もなく、努力する気も起きず、全体の活力が次第に失われていくからです。
③:運と実力の両方の要素がある
自らの思考と努力次第でコントロールできる「実力」の要素と、全くコントロールできない「運」の要素、の両方が良いバランスで混ざっている環境の方が持続的な発展が望めます。
④:秩序の可視化
ヒエラルキーというとネガティブなイメージがありますが、実際に広く普及したシステムには例外なく、ヒエラルキーが可視化されています。
しかし、このヒエラルキーが「固定化されない」ことがポイントです。
固定化されると、「②:リアルタイム」と「③:不確実性」が失われます。
また、そのヒエラルキーの上位を手に入れたユーザーは、その地位を守ろうとするので、強制的に新陳代謝を促す仕組みを組み込んでおく必要があります。
⑤:参加者が交流する場がある
ユーザー同士が交流しながら互いに助け合ったり、議論したりする場が存在することで、全体が1つの共同体であることを認識できるようになります。
こうして見ると現代に普及したTwitterやInstagram、Facebookといったサービスそのものですよね。
持続性をもたらす2つの追加要素
安定性と持続性を考えるとさらに2つの要素を取り入れる必要があります。
2つの追加要素
- ①:寿命を考慮しておく
- ②:共同幻想が寿命を長くする
①:寿命を考慮しておく
「持続性」と矛盾しているように聞こえますが、そもそも永遠に存在しうるシステムやサービスなどありません。
何十年、何百年と運営されることで前述した「ヒエラルキーの固定化」が避けられないからです(理由はそれだけではないはずですが)。
経済は人気投票を何百万回と繰り返すようなもので、時間が経つほど特定の人に利益が集中してしまうのは必然です(フィードバックループの結果)。
特定の人に利益が集中してしまうことによる「不満」や「飽き」によって、寿命が来ることを前提として、寿命が来たら「別のシステムにユーザーが移って行けるような選択肢を複数用意しておく」ことが重要です。
例
- FacebookにおけるInstagramやWhatsApp
- 外食チェーンにおける店舗のレパートリー
②:共同幻想が寿命を長くする
永遠は不可能でも長続きさせることは可能です。
ユーザーが「共同の幻想を抱いている場合」システムの寿命は飛躍的に伸びます。
Apple製品に不具合が多くてもユーザーが離れないのは、Appleの美意識や思想の熱心なファンであるからです。
安売りメーカーの製品に不具合が多ければユーザーは二度とリピートしてくれませんが、価値観に共感している場合は多少の失敗は許容できます。
ここであえて「幻想」と表現されているのは、絶対的な正しい価値観など存在しないからです。
例
- Appleにおけるスティーブ・ジョブズの美意識や理念
- オンラインサロンや社会貢献活動
本書では上記「5つの要素+2つの要素」を企業に当てはめた解説もされています。
ここでは割愛しますが、現代の経営者や起業家は上記の要素をよく理解した上で、「発展する経済システムを作るプロであること」が求められると筆者は述べています。
自己発展的に拡大するサービスを作るには?
ではTwitterやInstagram、Facebookといった自己発展的に拡大するサービスを作るにはどうしたら良いでしょうか?
先進国では、モノやサービスが溢れています。
ミニマリストという存在に表れているように、現代はモノが売れない時代で、人々の欲求は物質的なもの → 精神的なものに移ってきています。
そんな飽和状態の中でヒットするサービスを作るには、前述した5要素を押さえた上で、「衣食住」などの根源的な欲望を満たすサービスであることはもちろん、以下のポイントも押さえる必要があります。
- 社会的な欲望を満たす(金銭欲求や承認欲求)
- データを見ながらアップデートを繰り返す
- VIPユーザーとライトユーザーを差別化する
承認(金銭)欲求を満たす
SNSという経済の中では「いいね」や「RT」は「金銭」ではなく「承認」という欲求を満たす装置であり、ユーザー間でやりとりされる「通貨」のような役割を担っています。
拡散によって増えていく「フォロワー」は「貯金」のように貯まっていく「資産」に近いです。
データを見ながらアップデートを繰り返す
表面的なユーザーの声や、世の中の偏見に惑わされず、「データ」を見ながらユーザーの欲望を探り続けることが大事です。
なぜなら、そこには「ユーザー自身も気づいていない欲望」が存在するからです。
そして、ユーザーの反応を見ながら新しい機能をスピーディーに追加したり、反応が悪かったら機能を削除したりというアップデートを繰り返していくのです。
VIPユーザーとライトユーザーを差別化する
サービスの発展に貢献してくれたユーザーには「特別待遇」を用意します。
そして、それがユーザー間で可視化されていることが必須です。
さらに「ランキング」や「ゴールド会員」などの仕組みでヒエラルキーを作ります。
こうしてサービスが成長することでユーザーが得をし、ユーザーが得をすることでサービスが発展するという「利害の重ね合わせ」を丁寧にやっていき、VIPユーザーに支えられた(簡単に)コピーできない経済システムを作っていきます。
製品やアイディアで勝負する時代から、ユーザーや顧客も巻き込んだ経済システム全体で勝負する時代に変わってきています。
脳と経済の深い関係
経済システムがなぜ上記のような仕組みになっているのか?
筆者が偶然見つけたという答えは、私たちの「脳」にありました。
私たち人間や動物の脳は、欲望が満たされた時に「報酬系」または「報酬回路」と言われる神経系が活性化してドーパミンなどの快楽物質を分泌します。
いわば人間(や動物)はこの「報酬系」の奴隷で、さらにこの「報酬系」が分泌する快楽物質には"中毒性"があります。
先ほどの「経済システムを作る5つの要素」を脳の報酬系の視点から見た筆者の考察が面白いです。脳の欲求は進化するのです。
5つの要素
- ①:報酬が明確である(インセンティブ)
- ②:時間によって変化する(リアルタイム)
- ③:運と実力の両方の要素がある(不確実性)
- ④:秩序の可視化(ヒエラルキー)
- ⑤:参加者が交流する場がある(コミュニケーション)
①:インセンティブ
脳は「報酬が期待できる状態」でも快楽物質を分泌することが分かっています。
例えば、好きな子からの「LINEの通知」がそれに当たります。実際に会って話さなくても、メッセージを読まなくても報酬系は快楽を感じているはずです。
また、SNSの「いいね」による快楽なども、SNSが存在していない時代の人間からすれば何が嬉しいのか理解できないはずですが、脳は経験や学習によって快楽の対象を自由に変化させることができるのです。
今後、新たなテクノロジーの出現によって、人間は新たな対象に快楽を感じて、新しい欲望を生み出しているはずです。
②:リアルタイムと③:不確実性
脳は「飽きやすい」性格です。そのため「変化のある」、「不安定な」環境で得た報酬により多くの快楽を感じやすいということが研究で分かっています。
おそらくこれは野生動物が自然界で生き残る上で重要な機能だったのではないでしょうか。
リスクのある環境下で得られる快楽が大きいことで、自然界で積極的に動いていけるモチベーションにしていたのでしょう。
④:ヒエラルキー
人間の快楽は他者との比較によって高まります。自分は幸福か不幸か、優れているか、劣っているかを他者と比較することによって判断する相対的な生き物だからです。
同じ100点でも「全員が100点の場合」と「自分だけが100点の場合」では感じ方が全く異なるようにです。
そして、集団が大きく、比べる対象が複雑かつ、目に見えないものであるほど、ヒエラルキーの可視化が必要になります。
⑤:コミュニケーション
脳内の報酬系の仕組みをフル活用した装置が「ゲーム」です。
オンラインゲームの場合は上の4つの要素に「コミュニケーション」も加わり、さらに熱中度は高まります。
つまり優れた経済システムを作ろうとすると、ゲームに近づいていくことになります。これを「ゲーミフィケーション」と言います。ゲーム最強です。
自然界と経済の深い関係
脳とは逆に、経済をさらにより大きな枠組みとも比較しています。
著者が経済と最もよく似ていると思ったのが「自然界」でした。個人的に面白いと思った本書のハイライトの一つです。
「自然界」も「資本主義の世界」も弱肉強食の残酷な世界です。
自然界は食物連鎖と淘汰を繰り返しながら、全体が一つの「秩序」を形成して成り立っています。食物連鎖を通して「エネルギー」(資本主義でいうところの通貨)を循環させています。
個と、種と、環境が信じられないほどバランスの取れた生態系を作っており、しかも常に最適になるように自動調整がなされています。
自然界では人間社会にあるような法律を、誰かが管理しているわけではないので、自発的にこの仕組みが形成されたということになります。
「自然が経済に似ている」のではなく、「経済が自然に似ていたからこそ、資本主義がここまで広く普及した」のです。
自然がここまでバランスよく成り立っている要因は、前述した2つの特徴に加えて、さらに3つの特徴が挙げられます。
ネットワークの性質
- ①:極端な偏り
- ②:不安定性と不確実性
①:自発的な秩序の構成
ルールを作っている人がいないにも関わらず、簡単な要素から複雑な秩序が自発的に形成されているという特徴です。
こうした現象を「自己組織化」もしくは「自発的秩序形成」と呼ばれます。
②:エネルギーの循環構造
生物は食事などによって、常に外部からのエネルギーを体内に取り入れ、活動や排泄を通して外部に吐き出します。
熱力学の世界では時間が経つと、秩序のある状態から無秩序な状態に発展していくとされていますが、自然や生命はこのエネルギーの循環機能があるため秩序を維持することが可能だと言われています。
③:情報による秩序の強化
秩序をより強固にするために「情報」が必要になったと考えられます。我々で言う情報とは「記憶」や「遺伝子」のことです。
この「情報」が内部に保存されることで、構成要素が入れ替わっても同じ存在であり続けることができます。
これは「企業」にも言えることで、会社にとっての情報とは「ビジョン(理念)」です。
企業も時間の経過によって、社員や事業内容が変わったりしますが、ビジョンが可視化されていることによって、同一性を保ち続けることができます。
名前が違うだけで構造は全て同じ
こうして見ると、「自然」から「細胞」「生命」「企業」「国家」「経済」に至るまで、名前が違うだけで構造は全て同じものとして捉えることができます。
興味深いのは、マトリョーシカのような入れ子構造が続いていることです。
自然に近づけることでうまくいく!
ここまでの考察から一つの仮説が浮かび上がります。
自然の構造に近いルールほど社会に普及しやすく、かけ離れた仕組みほど悲劇を生みやすい。
この仮説を証明する典型例が下記です。
例
- マルクスの社会主義
- 成長が止まった国(現在の日本や韓国)
これからビジネスを始める際は「これは自然界のルールに近いか?」という視点から見てみると良いかもしれません。
レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉
経済の根底には脳の報酬回路があり、経済と自然は似ている。
そして、脳そのものも経済とそっくりな構造をしています。
筆者は彼が多才であったのではなく、「全て同じものに見えていたのではないか」という仮説を立てています。
ダ・ヴィンチは何でも出来たのではなく、名前が違うだけで構造は全て同じ「一つ」のものをよく理解していた天才だったのかもしれません。
そんな仮説を聞くとダ・ヴィンチが著書に残した言葉にも頷けます。
私の芸術を真に理解できるのは数学者だけである。
テクノロジーの変化は点ではなく線で捉える
1つ1つをIT業界のバズワードとして見るのではなく、1つの現象(大きな流れ)として捉えることで、次に起きる変化もある程度は予測できるようになります。
これからの10年は分散化
既存の経済や社会は「分散化」の真逆の「中央集権化」によって秩序を保ってきました。
代理人や仲介人がハブとして介在することで「情報」を握り、それが価値や権力になっていました。
しかし、誰もがスマホを持ち、リアルタイムで常時つながっている状態が当たり前になった現代では、ハブはむしろ流れをせき止めるジャマ者でしかなく、中央で管理する必要さえなくなったのです。
「分散化」の流れの一部として現れた新しい経済システムを3つに分けると下記です。
分散化による新経済システム
- ①:共有経済(シェアリングエコノミー)
- ②:トークンエコノミー
- ③:評価経済
共有経済(シェアリングエコノミー)
個人が余ったリソース(遊休資産)を直接共有し合う。
個人と個人をネットワーク化し、支払いの仲介や、レビューによる信頼性の担保などで、経済システム(プラットフォーム)を作っている。
例
- UBER
- Airbnb
- メルカリ
- Mobike(中国の自転車のシェアリングサービス)
日本などの先進国では既存の社会インフラがジャマをして、法整備などに時間を取られ、定着するのに時間が掛かりますが、中国などのここ10年で急激に成長した国では、こういった新しいサービスが一気に浸透します。これをリープフロッグ現象と言います。
トークンエコノミー
法定通貨の代わりにトークン(仮想通貨・代替貨幣)をやりとりして独自の経済圏を作ることができる。
今まで国家がやってきたことの縮小版を、企業や個人が手軽にできるようになった。
例
- ビットコイン
- タイムバンク
- VALU
- Kik(カナダのLINE)
本来はただの紙切れであるはずの法定通貨も昔は「金」と結び付けられていました。
金本位制の終了と共に現在は「国家の信用」によって支えられています。
トークンもさまざまな価値と好きに紐付けて流通させることができます。
トークンの種類
- ①:通貨型トークン
- ②:配当型トークン
- ③:会員権型トークン
①:通貨型トークン
法定通貨とほぼ同じ役割のトークン。
1ポイント=1円というような固定相場制ではなく、楽天ポイントやTポイントの変動相場制Versionです。
②:配当型トークン
株式や金融商品に近いトークン。
特定のサービスや機能で上がった収益の一部をトークン所有者に分配していきます。
③:会員権型トークン
ファンクラブや株主優待、ゴールド会員のようなイメージ。
トークンを保有している人が特別な割引や優待を受けられます。
支払ったら消えてしまうものではなく、そのトークンを保有している間は優待を受けられる点が通貨型トークンとは異なります。
これからの10年は自律分散型(分散化✕自動化)
自然界のように中央に絶対的な支配者や管理者がいないのにも関わらず、バランスよく回るシステムのことです。
例
- インターネット
- ビットコイン
シェアリングエコノミー 、ブロックチェーン、ディープラーニング、IoTなどの点の先にあるのは自律分散型のビジネスモデルかもしれません。
例
- Numerai(無人ヘッドファンド)
- BingBox(中国の無人コンビニ)
経済は「作る」対象に変わった
15世紀、活版印刷技術によってそれまで一部の特権階級しか手に入れることのできない貴重品であった「知識」が民主化しました。
さらに現代ではインターネット(Google)によって知識はコモディティ化(市場価値が低下し一般化すること)しました。
テクノロジーによって経済は「住む」対象 → 「作る」対象に変わり、やがて「経済の民主化」が進むと、知識のように「お金」もコモディティ化して、今ほど貴重なものと考えられなくなることが予想されます。
知識が検索すれば誰でも手に入るようになり、その知識をどう活用するかが重要なように、お金そのものには価値がなくなり、どう経済圏を作って回していくか、そのノウハウが重要な時代に変わっていくと考えられます。
資本主義の限界
「手段の目的化」が進みすぎたことが原因です。
"手段の目的化"とは、あくまで「お金はただのツール」に過ぎなかったのに、いつからかその「お金を増やすこと」だけが目的になってしまったということです。
将来のやりたい事のために大学に入ろうと勉強していたのに、いつからか偏差値を上げることが目的になっている状態に似ています。
消費経済と資産経済
普段私たちが生活している経済は「消費経済」と「資産経済」という2つの異なる経済が混ざり合ってできています。
消費経済(実体経済)
大半の人がコッチの経済を生きています。
労働をして給料をもらい、コンビニでお金を払うなどです。
大半の人がコッチなのに、全体のお金の流れの1割にも満たない経済です。
資産経済(金融経済)
資産家や金融マンなどのごく一部の人が生きている経済です。
いわゆる「お金がお金を生み出す」経済です。
全体のお金の流通の9割はコッチで生まれています。
消費経済と資産経済の関係
「消費」はモノやサービスが介在するため、やりとりに時間が掛かりますが、「資産」はコンピュータ上のデータ通信だけで、お金からお金を生み出すのでスピードが全然違います。
この1割の「消費経済」の上に9割の「資産経済」が乗っかっている状態が現在の経済です。
「資産経済」は「消費経済」からの金利や手数料で成り立っているので、「消費経済」の少しの変化で大きく動いてしまいます。地震が起きるとタワーマンションの上階ほど大きく揺れるのと同じです。
「消費経済」はモノやサービスが売れないので縮小しています。反対に「資産経済」は拡大しています。
資産家や投資家が「お金はあるのに使う対象がない」と金融マネーが彷徨っている状態です。企業の内部保留金も406兆円と過去最高です。
つまり資金調達が容易な環境にあるため、お金の価値そのものが下がり続けているのです。起業家にとってはチャンスでしかありません。
お金で買えないものの価値が上がっている
お金の価値が下がり、逆に「信頼」や「時間」や「個性」といった増やすのが難しく、お金で買えないものの価値が相対的に上がってきています。
現代はテクノロジーによって、この"お金で買えないものの価値"を最大化しておけば、色々な方法で、好きなタイミングで、他の価値と交換できるようになりました。つまり、
本来の正しい状態に戻ったとも言えます。
具体例
貯金0円だけど100万人のフォロワーがいる人が新たにビジネスを始めるとしましょう。
- Twitterで仲間を募る
- クラウドファンディングで資金調達
- フォロワーから知識を借りる
"他者からの注目"という「お金で買えないものの価値」が色々な方法で、好きなタイミングで、他の価値(人脈、金、情報)と交換できました。
資本主義から価値主義へ
これからはお金などの「資本」に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていくことが予想されます。
資本主義上では「お金にならない=無価値」とされてきた行為も、価値主義上では意味のある行為になります。
価値主義上での価値とは
- 経済的には、人間の欲望を満たす実用性(使用価値や利用価値)
- 倫理的・精神的には、真・喜・美・愛
- 希少性や独自性
興奮・好意・羨望などの人間の持つ感情や、共感・信用などの観念的なものなど、"消費できないもの"も立派な価値と言えます。
IT企業にとっての「顧客データ」やYouTuberにとっての「チャンネル登録者」などが分かりやすいですね。
価値の3分類
- ①:有用性としての価値
- ②:内面的な価値
- ③:社会的な価値
①:有用性としての価値
「役に立つか?」という観点から考えた価値。
資本主義がメインに扱ってきたもの。
②:内面的な価値
個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼすもの。
今までいわゆる"プライスレス"とされてきた価値。
③:社会的な価値
慈善事業やNPOなどの社会全体の持続性を高める活動も価値があると言えます。
「資本主義」の問題点は「①:有用性のみ」を価値と認識して、その他2つの価値を無視してきたことにあります。
「②:内面的な価値」や「③:社会的な価値」は物質がなく、曖昧なためテクノロジーの活用が不可欠です。
つまり、「価値主義」とは②③をテクノロジーの力でカバーする「資本主義の発展系」であると言えます。
評価経済
評価経済または信用経済と聞いて、未だ多くの人が違和感を抱く原因は、大半の仕組みが「評価」や「信用」ではなく、「注目」や「関心」に過ぎないから、であると言えます。
「注目」や「関心」を引くための"炎上商法"や"バカッター"などと区別できていないためです。資本主義の"稼ぐが勝ち"に似ています。
ソーシャルキャピタル
お金や不動産や株式はマネーキャピタル(金融資産)と呼ばれ、どれだけお金を増やせるかという観点で評価されます。
反対にお金が増えるわけではないが、社会全体にとって価値のある資本はソーシャルキャピタル(社会関係資本)と呼ばれています。
これからはこのソーシャルキャピタルによって、今まで儲からないとされていたプロジェクトが経済を大きく動かす力を持てるようになります。
例
- テスラ・モーターズの電気自動車
- スペースXの民間宇宙ロケット
- グラミン銀行(バングラデシュから貧困をなくすための金融機関)
社会の課題をビジネスとして解決する「ソーシャルビジネス」を通して、数十年後には「営利・非営利」という区別はなくなり、全ての活動は「価値」という視点から捉えられるようになっているでしょう。
あらゆる壁が溶けてなくなる
「営利・非営利」という壁がやがてなくなるように、「経済」と「政治」の壁も消えそうです。
貧困をなくすという政治の課題がソーシャル・ビジネスによって経済のフィールドで解決することに成功したように、今後ますますそういった活動が増えていくでしょう。
IoTなどによってあらゆるモノがネットに繋がるようになると、全ての産業にITが浸透し、「IT企業」というジャンル自体も消えそうです。
ベーシックインカム普及後の「お金」
AIが仕事をするようになると大半の人が失業してしまいます。するとベーシックインカムの導入を考える国が増えてくるでしょう。
ベーシックインカムとは、国が生活に必要な最低限のお金を国民全員に支給する仕組みです。
または、巨大企業が公共サービスに近いものをほぼ無償で提供するなどして、生活コストを大幅に下げるというベーシックインカムもありえます。
こうして生きるために働く必要がなくなると、私たちは今と全く違う生き方をしているかもしれません。
好きな経済を選べる社会
「既存の経済」と「新しい経済」が生まれると"どちらが正しいのか?"という議論に陥りがちですが、筆者は「どれも正しい、人によって正解は違う」と述べています。
既存の経済で優位な立場にある人や逃げ切れる人はそのままで良いし、合わない人にとっては新しい経済が必要です。
どんな職業に就いて、誰と結婚し、どんな宗教を信じるのも自由なように、これからはどんな経済を選んで生きるかを自分で決められる。私たちはその過程にあります。
昨今の格差問題も経済が複数存在することで今より和らげられるかもしれません。
また、複数の経済圏で生きることで、1つの経済で失敗したとしても、別の経済圏で何度もやり直すことができます。
つまりリスクを取ってアクティブに行動する人が増えるのです。
ダグラス・アダムスの言葉
新しいシステムには"老害"的な意見が付きものですが、本書で紹介されているイギリスの作家ダグラス・アダムスの言葉が面白いです。
要約
- 自分が生まれた時に存在していたテクノロジー:自然な世界の一部と感じる
- 15〜35歳の間に発明されたテクノロジー:新しくエキサイティングなものと感じる
- 35歳以降になって発明されたテクノロジー:自然に反するものと感じる
また、今の"日本の常識"と呼ばれているものは"45歳前後の人が持っている概念"を指しています。
お金から解放される生き方
先進国では「成長期」から「成熟期」に入ったと言われています(日本は衰退期とも言われますが)。
いわゆる1980年代以降に生まれた"ミレニアル世代"にとっては、「良い車に乗りたい」とか「良い家に住みたい」などにモチベーションを感じにくいはずです。
これは人間は豊かになると欲望の種類が変わってくる生き物だから当然です。
では、これからは何をモチベーションに生きていけば良いのでしょうか?
本書ではFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグのハーバード大学でのスピーチが紹介されています。
何もかもが満たされてしまって、誰もが人生の意義や目的を見失ってしまった。
本来、人生の意義や目的は欠落や欲求不満から生まれるものですが、あらゆるものが満たされた世界では、その人生の意義や目的こそが「価値」であり、さらにそれを他人に与えられる存在にならなくてはいけない。
好きなことに熱中している人ほどうまく行きやすい
価値主義の世界での働き方や生き方のスタンダードは非常にシンプルです。
資本主義では「儲かること」が意思決定の上位でしたが、価値主義では「情熱を傾けられること」を基準に選ぶべきです。
金銭的なリターンを第一に考えるほど儲からなくなり、何かに熱中している人ほど結果的に利益を得られるようになります。
「お金」のためではなく「価値」を上げるために働く
価値主義の世界では就職や転職に対する考え方も大きく変わります。
"個人の価値"さえ高めておけば、それをお金やそれ以外の価値に変換する環境はもはや整備されつつあります。
会社は自分の価値を発揮する1つのチャンネルに過ぎません。
個人の価値
- ①:スキル/経験のような実用性としての価値
- ②:共感/好意のような内面的な価値
- ③:信頼/人脈のような繋がりとしての社会的な価値
その会社を退社した時に、自分の人材としての価値が高まっているのかどうかを基準に選びましょう。
そして、本当に価値を提供できる人は会社に属して働く必然性が消えています。
枠組みの中での競争から「枠組み自体を作る競争」へ
これからは枠組みの中での競争から、自分なりの独自の枠組みを作れるかどうかの競争になります。
そのためには自分の興味や情熱と向きあい、自らの価値に気づき、それを育てていく。そしてその価値を軸に、自分なりの経済圏を作っていく。
そのためにはそれを実現させるためのテクノロジーや、本書に書かれている人間の欲望について深く理解することも必須です。
加速する人類の進化
これからの30年で開発される新たなテクノロジーは「シンギュラリティ」と呼ばれ、人類をこれまでとは全く違う世界へと連れて行ってしまうことになると筆者は言います。
大半の労働は機械によって自動化され、人間はお金や労働から解放されます。人間は生きていくために働くことも、お金を稼ぐことも必要なくなります。
「ひいおじいちゃんの時代には1週間のうちのほとんどをやりたくもない仕事をしていたらしいよ、かわいそうだね」と、私たちの孫ぐらいの世代は話していそうです。
それはまさに現代人が身分制度に縛られていた江戸時代の市民を見る目に近いです。
近い未来の話
本書の巻末には、まるでSFのような近い未来の話が紹介されています。
ここでは割愛しますが、都市伝説好きな私にとっては大変エキサイティングな内容でした。ぜひ実際に手にとって確認してみてください。
もくじ
- 国家の未来
- 宗教の未来
- 現実を選べる未来
- 宇宙の未来
「お金」は単なる「道具」である
本書は最後に、身近なお金との付き合い方、お金と感情との距離の取り方について触れられています。
たくさんのお金を動かしている人ほど、お金を紙やハサミやパソコンと同様に「道具」として見ています。
そこに何の感情もくっつけていません。
純粋に便利な道具としてお金を見ているからこそ、それを扱う時も心は揺れませんし、冷静に判断をし続けることができます。
そして、私たちがお金に特別な意味を感じていた最後の世代になるでしょうし、そういう未来の到来を早めることが私たちの世代の人間の仕事だとも思っています、とも語られています。
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まとめ:お金2.0
これでも本記事は本書のほんの一部です。全編は実際に手にとって確認してみてください!
ちなみに本書は"あの箕輪さん"が編集を担当しています。
「はじめに」が無料公開されていますので、どうぞ。